家は建てて終わりではなく、
住み始めてからさまざまなメンテナンスが必要になります。
そんな中、意外と多いのが、
「これって工務店にお願いしたらいいですか?」
というお問い合わせです。
もちろん、どこに相談すればいいか分からなければ、
まず工務店に聞いていただいて問題ありません。
ただ、内容によっては工務店を通すより、
メーカーへ直接依頼したほうが早くて確実なケースもあります。
今回は、家のメンテナンスを
「工務店に相談したいもの」と「メーカーに直接相談したほうがいいもの」に分けて整理してみます。
家づくりの仕事に携わって早二十数年。
現場監督からスタートし、
営業・設計・アフターメンテナンス、
そして工務店経営まで経験してきましたが、今でも毎日が勉強です。
より良い家づくりを実現するために、日々学び続けています。
ご興味のある方は、ぜひ過去のブログもさかのぼって読んでいただけるとうれしいです。

まず工務店に相談してほしいのは、建物そのものに関係する不具合です。
たとえば、
雨漏り
外壁や屋根の不具合
床や壁、天井の異常<
室内建具の不具合
無垢床など木部の補修
基礎や構造に関する心配
結露やカビの原因調査
給排水で「どこから漏れているのか分からない」場合
などです。
こうした不具合は、単純に部品を交換すれば終わりとは限りません。
たとえば壁にシミができていても、
屋根からの雨漏りなのか、外壁からなのか、
給排水管なのか、結露なのかによって対応はまったく違います。
「原因がどこにあるのか分からない」ものほど、
まず家全体を分かっている工務店へ相談するのが基本だと思います。
特に雨漏りや結露などは、
表面だけ直しても原因が残っていれば再発します。
家全体の納まりや施工方法まで含めて判断する必要があります。
一方で、住宅設備そのものの故障や部品交換は、
メーカーへ直接相談したほうがスムーズなことがあります。
代表的なのが、
ユニットバス
システムキッチン
食器洗い乾燥機
IH・ガスコンロ
レンジフード
トイレ
給湯器・エコキュート
エアコン
メーカー製の洗面化粧台
などです。
先日もOBのお客様から、
浴室ドア下のパッキンが経年劣化してきたので交換したい、というご相談がありました。
こうしたユニットバスを構成している専用部品は、
基本的にはメーカーのメンテナンス窓口に相談するのが確実です。
品番から適合する部品を調べてもらえますし、
必要であればメーカーのサービス担当者が交換してくれます。
工務店にご連絡いただいても、
最終的にメーカーへ修理依頼をするケースでは、
その分やり取りが一段階増えることになります。
故障している設備やメーカーがはっきりしている場合は、
取扱説明書やメーカーのWebサイトに記載されている修理窓口へ直接相談するほうが早い場合があります。
とはいえ、お客様に設備や建築の区別をしていただく必要はありません。
「これは建物側なのか、設備側なのか?」
そんなことは分からなくて当然です。
たとえば水漏れひとつでも、
蛇口本体なのか、排水なのか、
壁や床の中の配管なのかで相談先は変わります。
エアコンから水が出ている場合でも、
エアコン本体の故障だけでなく、
ドレン配管の詰まりや施工状況が関係していることもあります。
原因がはっきりしない場合は、無理に判断せず工務店へ相談してください。
状況を聞いたり写真を見たりすれば、
「これはメーカーへ直接依頼してください」
「これは一度こちらで確認しましょう」
と振り分けることができます。
この「最初の相談窓口」も、
地域の工務店が担う大切な役割だと思っています。
もうひとつおすすめしたいのが、
住宅設備の取扱説明書や保証書をまとめて保管しておくことです。
10年ほど経って設備に不具合が出たとき、
「このお風呂、どこのメーカーだったかな?」
「給湯器の品番はどこに書いてある?」
となることがあります。
修理を依頼するときには、
メーカー名だけでなく品番や製造番号が分かると話が早く進みます。
最近はWebで取扱説明書を確認できる製品も増えていますが、
引き渡し時の書類はできるだけ一か所にまとめて残しておくことをおすすめします。
家のメンテナンスというと、
外壁塗装や屋根工事など大きな工事を想像しがちですが、
実際にはパッキンひとつ、建具の調整ひとつといった小さなものの積み重ねです。
すべてを工務店に頼む必要もありませんし、
逆に何でもメーカーへ頼めばいいわけでもありません。
建物全体に関わることや原因不明の不具合は工務店へ。
設備本体の故障や専用部品はメーカーへ。
これをひとつの目安として覚えておくと、いざというときに動きやすくなります。
そして何より大切なのは、小さな異変をそのままにしないこと。
建てた後も適切に点検し、必要なところに必要な手を入れていく。
10年、20年、30年と安心して暮らしていただくためには、
そんな日々のメンテナンスも家づくりの一部だと考えています。
「これ、どこに相談したらいいんだろう?」と迷われたときは、
まず建ててもらった工務店に聞いてみるのもいいと思います。