先日、久しぶりに
帝国データバンクの担当者の方とお話しする機会がありました。
帝国データバンクと聞くと、
会社を経営されている方には馴染みがあると思いますが、
一般の方には「何をしている会社なの?」という感じかもしれません。
帝国データバンクは、
企業の信用調査や企業情報の収集・提供などを行っている会社です。
私たち工務店のような会社についても、
業績や経営状況、業界の動向などを調査されています。
今回はそんな担当者の方との話の中で、
住宅業界、特に木造建築業を取り巻く環境について、
いろいろと考えさせられることがありました。
家づくりの仕事に携わって早二十数年。
現場監督からスタートしたキャリアも、
営業・設計・アフターメンテナンス・工務店経営まで、
今でも毎日が勉強です。
より良い家づくりを実現するために、日々学び続けています。
ご興味のある方は、ぜひ過去のブログもさかのぼって読んでいただけるとうれしいです。

木造建築業は全体的に厳しい状況
担当者の方との話で印象に残ったのが、
「木造建築業は全体的に冷え込んでいる」
という話でした。
確かに私自身も、
日々仕事をしていてもその空気は感じています。
建築資材や人件費の上昇、
土地価格、住宅ローン金利など、
家づくりを取り巻く環境はここ数年で大きく変化しました。
以前と同じ感覚で「そろそろ家を建てよう」と考えるには、
なかなか難しい時代になっています。
工務店経営を15年続けてきましたが、
住宅業界はずっと同じではありません。
良い時もあれば厳しい時もあり、
そのたびに求められる家や仕事の内容も変化してきました。
数年前までのオーガニックスタジオ兵庫は、
仕事の中心が注文住宅の新築でした。
もちろん今でも新築住宅は大切な仕事です。
高気密高断熱、耐震性、自然素材、太陽に素直な設計など、
これまで積み重ねてきた家づくりを新築住宅に生かしています。
一方で、ここ数年明らかに増えてきたのが大型リノベーションです。
単純にキッチンやお風呂を交換するだけではありません。
既存住宅を一度大きく解体し、
構造を確認したうえで耐震性や断熱性能を改善し、
間取りや設備まで含めて現在の暮らしに合わせてつくり直していく。
工事内容によっては、新築以上に頭を悩ませることもあります。
壁をめくって初めて分かることも多く、
「想定していた構造と違うな……」
ということも珍しくありません。
既存部分をどこまで残し、どこを直すのか。
性能と予算のバランスをどう取るのか。
リノベーションには、新築とはまた違った設計力と現場対応力が求められます。
なぜ大型リノベーションが増えているのでしょうか。
もちろん新築価格の上昇も一つの理由でしょう。
しかし、それだけではないと思っています。
日本にはすでに多くの住宅があります。
立地が良かったり、しっかりした構造だったり、
家族から受け継いだ思い入れのある家だったり。
そうした建物をすべて壊して新しくするのではなく、
使えるものを生かしながら、今の暮らしに合った性能へアップデートする。
これもこれからの家づくりの大切な選択肢です。
私たちが自然素材や耐久性、メンテナンス性を重視してきた理由にもつながります。
家は完成した瞬間がゴールではありません。
20年、30年、さらにその先まで住み続けていくものです。
新築と大型リノベーションの両方を経験している立場から言うと、
リノベーションは決して簡単な工事ではありません。
むしろ難しい。
新築なら最初から構造や断熱、設備配管などを計画できます。
しかしリノベーションでは、
すでにある建物という条件の中で最善策を考えなければなりません。
そのためには図面だけではなく、
現場を見る力が重要になります。
私自身、現場監督からこの仕事を始めました。
若い頃は現場で分からないことだらけでしたが、
今振り返ると、その経験がリノベーションの仕事では特に役立っているように思います。
既存住宅を見て、
「ここは残せる」
「ここは今のうちに直したほうがいい」
「ここにお金を掛けても効果が薄い」
と判断する。
リノベーションでは、
何でも新しくすればいいわけではありません。
限られた予算をどこに使えば、
その家がこれから長く快適に使えるのか。
そこを考えることが非常に重要です。
帝国データバンクの方との久しぶりの面談。
業界全体の状況を客観的な立場の方から聞くことで、
自分たちの仕事を改めて振り返る良い機会になりました。
オーガニックスタジオ兵庫も、
新築住宅を中心としていた時代から、
新築と大型リノベーション、さらに建てた後のメンテナンスまで、
仕事の幅が少しずつ広がっています。
ただ、仕事の内容が変化しても目指しているものは同じです。
できるだけ長く、快適に暮らせる家をつくること。
新築でもリノベーションでも、そこは変わりません。