先日、以前に家づくりをさせていただいたお施主様から、
焼杉の外壁についてご相談をいただきました。
「焼杉の表面の黒い部分が少しずつ剥げて、木の色が見えてきたのですが大丈夫でしょうか?」
という内容です。
オーガニックスタジオ兵庫では、
外壁材として焼杉をたまに採用することがよくあります。
自然素材ならではの質感があり、
年月とともに変化していく表情も焼杉の大きな魅力です。
家づくりの仕事に携わって早二十数年に。
現場監督からスタートしたキャリアも、
営業、設計、アフターメンテナンス、工務店経営と、
日々学びながらより良い家づくりを実現するために奮闘中!!
ご興味のある方は過去ブログも遡って読んでいただければ大変嬉しいです!!!

しかし、
新築時には真っ黒だった外壁の一部から木の色が見えてくると、
「このまま放っておいて大丈夫?」
「そろそろ塗装したほうがいい?」
「焼杉も定期的なメンテナンスが必要?」
と心配になるのも当然だと思います。
今回は、お施主様からのご相談をきっかけに、
焼杉の外壁の経年変化とメンテナンスについて考えてみたいと思います。
焼杉は、
その名前のとおり杉板の表面を焼いて炭化させた外壁材です。
長年にわたって雨や風、
紫外線にさらされることで、
表面の炭化した部分が少しずつ落ちて、下の木の色が見えてくることがあります。
特に、
・雨風を強く受ける面
・紫外線の影響を受けやすい面
・軒が浅く雨が掛かりやすい場所
などでは、比較的早く変化が現れることもあります。
基本的には、
黒い部分が剥げて木の色が見えてきたからといって、
すぐに外壁として問題があるわけではありません。
焼杉も自然素材です。
年月とともに色や表情が変わっていくのは、
ある意味では自然なことです。
ただし、大切なのは、
「焼杉だから何もしなくても大丈夫」
と考えるのではなく、現在の状態を確認することです。
焼杉について調べていると、
「メンテナンスフリー」という言葉を目にすることがあります。
しかし、家づくりに携わる立場としては、
完全なメンテナンスフリーの外壁材はないと考えています。
焼杉も同じです。
一般的な窯業系サイディングのように、
一定期間ごとに全面塗装やシーリングの打ち替えを行うという考え方とは少し違いますが、定期的な状態確認は必要です。
特に確認しておきたいのは、
・板の大きな割れ
・反りや浮き
・腐食
・雨水が集中して掛かる部分
・地面に近い部分
などです。
黒い炭化層が落ちていることだけではなく、
杉板そのものの状態を見ることが大切です。
焼杉の外壁を長年見ていると面白いのが、
同じ建物でも場所によって経年変化の仕方がまったく違うことです。
南面と北面。
軒の深い場所と浅い場所。
雨がよく掛かる場所と、ほとんど掛からない場所。
当然ですが、それぞれ条件が違います。
そのため、
「築10年だから塗装しましょう」
「15年経ったから全面的なメンテナンスが必要です」
と一律に判断するのは、
焼杉にはあまり合っていないように思います。
実際の状態を見ながら、必要な場所に必要な手を入れる。
これが自然素材である焼杉との上手な付き合い方ではないでしょうか。
今回のお施主様のように、
表面の黒い部分が剥げて木の色が見えてくると、
やはり塗装したほうがいいのか気になるところです。
これについても、すぐに塗装が必要とは限りません。
色の変化を焼杉の経年変化として楽しむのであれば、
そのまま様子を見るという選択肢もあります。
一方で、
「できるだけ黒い外観を維持したい」
「場所による色ムラが気になる」
「木部の露出がかなり進んできた」
という場合には、状態を確認したうえで塗装や補修を検討することもできます。
大切なのは、年数だけで判断しないことです。
まずは現在の状態を確認する。
そのうえで、本当にメンテナンスが必要なのかを考えることが大切です。
焼杉に限らず、
私たちが家づくりでよく使う無垢材や自然素材は、
新築時の状態がずっと続く材料ではありません。
色が変わったり。
傷がついたり。
少しずつ風合いが変化したり。
時間とともに表情が変わっていきます。
工業製品のように、
できるだけ新築時の状態を維持するという考え方もあります。
一方で、年月とともに変化していく素材を楽しみながら、
必要なところに手を入れて長く使っていく。
私はそんな家づくりもいいのではないかと思っています。
今回、お施主様から焼杉のメンテナンスについてご相談をいただき、
改めて感じたことがあります。
家は建てて終わりではありません。
10年、20年と住み続けていく中で、
外壁だけでなく、屋根や雨樋、設備機器なども少しずつ変化していきます。
だからこそ、何か問題が起きてから対応するのではなく、
定期的に家の状態を確認することが大切です。
今回の焼杉についても、
「黒い部分が剥げたからすぐに工事をしなければならない」
ということではありません。
まずは状態を見る。
そして、本当に必要なメンテナンスを必要なタイミングで行う。
無駄な工事をせず、
長く安心して住み続けてもらうためにも、
そんなアドバイスをしていきたいと思っています。
焼杉の外壁について、
「この変化は大丈夫?」
「そろそろメンテナンスが必要?」
と気になることがあれば、
写真を送っていただいたり、定期点検の際にお気軽にご相談ください。
実際の状態を確認しながら、
その家に合ったメンテナンス方法を一緒に考えていければと思います。