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2026.09.30住宅業界のあれやこれや

モデルルームが素敵に見える理由。「余白」は家づくりでどこまで必要か?

 

 

 

 

住宅展示場やマンションのモデルルームを見に行くと、

 

 

「やっぱりプロがつくった空間は素敵だな」

 

 

と感じることがあります。

 

 

 

 

もちろん、内装材や照明、家具、

インテリアのコーディネートが上手なのも理由のひとつです。

 

 

 

ただ、設計する側から見ていると、それ以前に大きな理由があります。

とにかく、いろいろなものに余裕があるんです。

 

 

 

家づくりの仕事に携わって早二十数年。

現場監督からスタートしたキャリアも、

営業・設計・アフターメンテナンス・工務店経営まで。

 

 

 

 

 

 

 

モデルルームは「余白」が大きい

 

 

 

モデルルームをよく見てみると、

LDKが広かったり、ソファが大きかったり、

ダイニングテーブルの周囲にも十分なスペースが取られていたりします。

 

 

 

廊下や玄関にもゆとりがあり、

大きな窓や高い天井が採用されていることもあります。

 

 

 

一言でいえば、デカい。

 

 

 

そして、この「大きさ」が空間を素敵に見せるうえでかなり効いています。

 

 

 

家具と家具の間に余白がある。

 

 

窓の横にも壁が残っている。

 

 

何も置かれていない床や壁がある。

 

 

こうした余白があることで、素材や家具、照明がきれいに見えてきます。

 

 

 

 

これは住宅だけではありません。

 

 

 

ホテルやショップなどでも、

少し高級な空間ほど「何もないところ」を贅沢に使っています。

 

 

 

 

空間は、物を置いたところだけでなく、

何も置かないところによってもつくられている。

 

 

 

そんなことを感じます。

 

 

 

でも、普通の家づくりで同じことをすると……

 

 

 

 

では、モデルルームと同じようにつくれば素敵な家になるのか。

 

 

 

ここは少し注意が必要です。

 

 

 

例えば30坪前後の土地で家を建てる場合、

建ぺい率や容積率、駐車スペース、隣家との距離など、さまざまな条件があります。

 

 

 

その中で、

 

 

「玄関をもっと広く」

 

「LDKをもっと広く」

 

「廊下にもゆとりを」

 

「洗面もホテルのように」

 

 

と全部を大きくしていけば、

当然ながら建物も大きくなります。

 

 

 

建物が大きくなれば建築費も増えますし、

土地によっては、そもそもそんな計画ができません。

 

 

 

 

特に神戸や阪神間のように、

限られた土地を有効に使いながら家を建てる場合、

モデルルームのような「全部に余裕のある設計」は現実的ではないケースも多いと思います。

 

 

 

 

だから、モデルルームを見るときには、

 

 

「素敵だからそのまま真似する」ではなく、

「なぜ素敵に感じるのか」を見ることが大切です。

 

 

 

 

大切なのは「全部を広くする」ことではない

 

 

 

オーガニックスタジオ兵庫の家づくりでも、余白は大切にしています。

 

 

 

ただし、家全体を大きくするという意味ではありません。

 

 

 

むしろ大切なのは、どこに余白をつくり、どこをコンパクトにするのか。

 

 

 

例えば、家族が長い時間を過ごすリビングには少し余裕を持たせる一方で、廊下はできるだけ少なくする。

 

 

 

玄関そのものを必要以上に大きくしなくても、

視線が庭まで抜けるようにして広く感じさせる。

 

 

 

窓もたくさん付けるのではなく、

外の景色や光の入り方を考えて、効果的な場所につくる。

 

 

 

収納も「とにかく大きく」ではなく、

必要な場所に必要な量をつくる。

 

 

 

面積を増やさなくても、

設計によって余白を感じさせることはできます。

 

 

 

ここは注文住宅を設計する面白さでもあります。

 

 

 

「坪数」より、広く感じる家を考える

 

 

 

家づくりをしていると、

 

 

「LDKは20畳ほしい」

 

「30坪では狭いでしょうか?」

 

 

といった話になることがあります。

 

 

 

 

もちろん面積は大切ですが、

同じ20畳でも感じ方はかなり違います。

 

 

 

 

天井の高さ、窓の位置、家具の配置、外への視線、

建具のつくり方、隣の空間とのつながり。

 

 

 

こうしたものによって、

実際の床面積以上に広く感じることもあれば、

逆に面積は十分なのに窮屈に感じることもあります。

 

 

 

 

だから私たちは、

単純に「何畳あるか」「何坪あるか」だけでは家を考えません。

 

 

 

限られた面積の中で、どこを削って、どこに余裕をつくるのか。

 

 

 

そこに設計の力が出ると思っています。

 

 

 

 

モデルルームを見るときの判断基準

 

 

 

これから住宅展示場やモデルルームを見る方には、

ぜひ「素敵だった」で終わらず、少しだけ寸法を意識して見てもらいたいと思います。

 

 

 

  • LDKは何畳あるのか

 

  • 天井高はどれくらいあるのか

 

  • ソファやダイニングの周囲にどれくらい余白があるのか

 

  • 廊下や玄関の幅はどれくらいか

 

  • 窓の大きさと位置はどうなっているか

 

  • 実際の自分たちの土地でも再現できるのか

 

  • 同じことをした場合、建築費はどのくらい変わるのか

 

 

ここまで見ていくと、

「モデルルームが素敵に見えた理由」が少しずつ分解できるようになります。

 

 

 

そして、その全部を採用する必要はありません。

 

 

「この余白は自分たちの暮らしにも欲しい」

 

 

「ここまでの広さはいらないけれど、この窓の取り方は好き」

 

 

そんなふうに、自分たちの家に必要なものだけを拾っていけばいいと思います。

 

 

 

 

家は展示するためではなく、

毎日暮らすためのものです。

 

 

 

広ければ広いほどいいわけでも、

小さければ合理的というわけでもありません。

 

 

 

 

土地、予算、家族構成、暮らし方、

そして将来のメンテナンスまで考えながら、

必要なところにはきちんと余白をつくり、必要以上に大きくしない。

 

 

 

30年後にも「この家でよかった」と思える家は、

そんなバランスの先にあるのではないかと思います。

 

 

 

モデルルームを見る機会があれば、

インテリアだけでなく、ぜひ「余白」にも注目してみてください。

 

 

 

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