注文住宅の打ち合わせで、
意外と時間をかけて考えるのがコンセントの位置です。
「ここにもあったほうが便利かな?」
「とりあえず多めに付けておこうか?」
そんな話になりがちですが、
コンセントは数が多ければよいというものでもありません。
最近は家電製品の進化によって、
以前とは違った場所に電源が必要になるケースが増えてきました。
特に見落としやすいのが、
家電を使う場所ではなく、使っていないときに充電する場所です。
家づくりに携わって二十数年。
現場監督から設計、アフターメンテナンスまで経験してきましたが、
住み始めてからの使い勝手は、こうした小さな計画の積み重ねで変わってくるものだと思います。
今回は、最近の家電事情を踏まえたコンセント計画について考えてみます。

少し前まで、住宅のコンセント計画といえば、
テレビや冷蔵庫、電子レンジ、掃除機など、家電を使う場所を中心に考えるのが一般的でした。
ところが最近は、充電式の家電製品がずいぶん増えています。
例えば、
EV車の充電 などなど
こうした機器は、
使用中にコンセントが必要ないものも多いのですが、使い終わった後には充電が必要です。
つまり、家電をどこで使うかだけでなく、
どこに戻して充電するかを考える必要があります。
ここが、今の家づくりで意外と見落とされがちなポイントです。
今ではロボット掃除機を使うことを前提に、
間取りを考えるご家庭も増えてきました。
以前のロボット掃除機は壁や家具にぶつかりながら方向転換するものも多かったのですが、
最近はセンサーやマッピング機能が進化し、ずいぶん賢くなりました。
さらに、自動でゴミを回収したり、モップを洗浄したりする機種もあります。
そうなると、単純にコンセントがあればよいという話ではなくなります。
充電ステーションそのものの大きさや、掃除機が出入りするためのスペースも必要です。
例えば階段下や収納の一角に設置する場合でも、
といったことを考えておきたいところです。
収納の中に隠してしまえば見た目はすっきりしますが、
機種によっては周囲に必要な空間やメンテナンススペースが決められています。
また、水拭き機能付きの場合は、給排水や湿気への配慮が必要になることもあります。
ロボット掃除機の居場所を、家づくりの段階で決めておく。
これだけでも、住み始めてからの使い勝手は変わってくると思います。
もうひとつ、意外と忘れがちなのがコードレススティック掃除機です。
最近は軽量で吸引力のある製品も増え、
メインの掃除機として使っているご家庭も多いのではないでしょうか。
コードレス掃除機は使うときに電源コードがいらないため、コンセントの位置を意識しにくい家電です。
しかし、収納する場所には充電用の電源が必要です。
収納内部にコンセントを設けておけば、
使い終わったらそのまま戻して充電できます。
ただし、掃除機の機種によって充電方法や必要な高さが違うため、事前に確認しておくことが大切です。
また、収納内で充電する場合には、メーカーの設置条件や放熱スペースにも注意が必要です。
掃除機だけでなく、交換用のノズルや付属品をどこに置くかまで考えると、さらに使いやすくなります。
個人的に、これからの家づくりで意識しておきたいと思うのが、電動アシスト自転車の充電です。
特に神戸のように坂道の多い地域では、電動アシスト自転車を利用されるご家庭も多いと思います。
電動アシスト自転車は、バッテリーを取り外して室内で充電するタイプが一般的ですが、
その充電場所まで考えて間取りを計画しているでしょうか。
実際には、玄関の床やキッチンの片隅など、空いているコンセントを利用して充電することになりがちです。
そこで考えておきたいのが、
といったことです。
バッテリーは、メーカー指定の充電器を使用し、
周囲に燃えやすいものを置かず、指定された環境で充電することが基本です。
玄関収納の中にコンセントを設ける場合も、
単に扉を閉めて隠すのではなく、放熱や点検のしやすさを確認する必要があります。
また、屋外で充電する場合は、防雨対策や盗難防止、使用する機器の仕様など、別の配慮も必要になります。
玄関まわりに小さな充電スペースを考えておくだけでも、日々の使い勝手はずいぶん違ってくるのではないでしょうか。
ここまで充電場所の話をしてきましたが、
だからといって家中にコンセントを増やせばよいというわけではありません。
コンセントにも設置費用がかかりますし、
家具の裏に隠れてしまったり、結局一度も使わなかったりする場所も出てきます。
それよりも大切なのは、暮らしの中で家電がどのように動くのかを想像することです。
例えば、掃除機を使い終わったらどこに戻すのか。
電動自転車で帰宅したら、バッテリーをどこで外して、どこで充電するのか。
スマートフォンやタブレットは、家族それぞれがどこで充電するのか。
こうした日常の動作を一つずつ考えることで、本当に必要なコンセントの位置が見えてきます。
また、複数の家電を同時に使う場所では、
コンセントの数だけでなく、電気回路の容量や分け方についても検討が必要です。
もうひとつ考えておきたいのが、家電の進化です。
今から10年前と現在を比較しても、住宅で使う家電はずいぶん変わりました。
ロボット掃除機もコードレス掃除機も進化していますし、
これから先、どのような充電式の家電が増えていくのかは分かりません。
だからこそ、今使っている家電にぴったり合わせすぎないことも大切です。
収納スペースに少し余裕を持たせたり、将来的に使い方を変更できるようにしておいたり。
設備や家電は入れ替わりますが、住宅そのものは長く使い続けるものです。
今の暮らしに便利であることと、将来の変化に対応できること。
この両方を考えておきたいところです。
家づくりの打ち合わせでは、
間取りやデザイン、断熱性能などに目が向きがちですが、
コンセントの位置も日々の暮らしやすさに直結する大切な設計要素です。
これから注文住宅を計画される方は、ぜひ一度、ご自宅にある充電式の家電を数えてみてください。
思っている以上に多くの機器があることに気づくかもしれません。
そして、その家電を「どこで使うか」だけでなく「どこに戻すか」まで考えてみる。
そんな小さな工夫が、住み始めてからの満足度につながるのだと思います。