最近、家づくりを検討されている方から、
「建築費がずいぶん高くなりましたね」
「もう少し待てば、安くなるんでしょうか?」
そんな話を聞くことがあります。
確かに、ここ数年の建築費の上昇は大きなものがあります。
今回は、建築費が高騰している今、家づくりを進めるべきか、
それとも待つべきか? というテーマでYouTube動画を公開しました。
建設物価調査会が公表している「建築費指数」によると、
2021年平均と2026年8月を比較して、木造住宅の建築費は約37%上昇しています。
※東京・住宅木造・工事原価の指数による比較です。
例えば、2021年に3,000万円だった工事費が、
単純計算では約4,110万円に相当するということです。
ただし、これは同じ住宅の見積金額が必ず37%上がったという意味ではありません。
実際の住宅価格は、建物の規模や仕様、施工地域、住宅会社によっても変わります。
また、この数年間で住宅に求められる断熱性能や省エネ性能も変化してきました。
単純に値上がりした部分と、住宅の性能や仕様が変わった部分は分けて考える必要があります。
建築費が上昇している理由には、
資材価格や人件費、物流費など、さまざまな要因があります。
特に建築業界では、職人の高齢化や人手不足も大きな課題です。
もちろん、資材価格が落ち着いたり、
一部の材料が値下がりしたりする可能性はあります。
ただ、今後、建築費全体が大幅に下がると期待して家づくりを先延ばしにするのは、なかなか判断が難しいところです。
そして、もう一つ考えておきたいのが住宅ローンです。
建築費だけでなく、金利や借入期間、
現在の住居費なども含めて考える必要があります。
例えば、家づくりを5年先延ばしにすると、その分だけ年齢も上がります。
同じ返済期間を確保できるのか、定年までにどれくらい返済できるのか。
こうしたことも、家づくりのタイミングを判断する大切な材料になります。
今回の動画では、建築費が高い時代だからこそ、
契約前に確認しておきたいポイントについてもお話ししています。
私が大切だと考えているのは、次の3つです。
家づくりの仕事に携わって二十数年。
現場監督から設計、アフターメンテナンスまで経験してきましたが、
住宅は完成したときの金額だけでは判断できないと感じています。
例えば、初期費用を抑えるために断熱性能を下げたとしても、
その後の冷暖房費や住み心地に影響することがあります。
また、将来のメンテナンスが難しい材料や納まりを採用すると、修繕時の負担が大きくなる場合もあります。
建築費を抑えることと、長期的にお得な家を建てることは、必ずしも同じではありません。
建築費が上がっている以上、
予算に合わせて計画を調整することも必要です。
そんなとき、私ならまず建物の大きさや形、間取りの効率を見直します。
本当に必要な床面積なのか。
廊下や使い方の決まっていないスペースが多くないか。
設備や仕上げ材に、予算をかけすぎていないか。
一方で、断熱・気密・耐震性能など、
完成後に改善するには大きな費用がかかる部分は、できるだけ慎重に判断したいところです。
住宅の予算調整は、単純に安い材料へ置き換えるだけではありません。
暮らしの質をできるだけ落とさずに、どこを合理化できるか。
そこに設計の工夫があると思っています。
今回のYouTubeでは、建築費が約37%上昇した背景から、
住宅ローン、契約前の確認事項、予算の考え方までお話ししています。
「今建てるべきか、もう少し待つべきか」
これは、ご家族の年齢や資金計画、現在の住まいの状況によっても答えが変わります。
大切なのは、建築費の上昇だけを見て判断するのではなく、これからの暮らし全体を考えることです。
家づくりを検討されている方は、ぜひ今回の動画も参考にしてみてください。
建築費が高い時代だからこそ、
金額だけでなく、その家にどんな価値があるのか。
30年後も、この家でよかったと思えるような家づくりを考えていきたいですね。
【YouTube動画リンク】⇒建築費が5年で37%上昇!家づくりは今するべき?待つべき?一級建築士が解説