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2026.09.24住宅業界のあれやこれや

防護管は「昔は無料」だった?住宅現場で見落とせない電線対策

 

 

 

 

先日、電力関係の方と話をしている中で、

住宅の建築現場で起きた感電事故の話になりました。

 

 

 

姫路市でクレーン作業中に電線へ接触し、

作業員2名が亡くなったという事故です。

 

 

 

住宅建築の仕事に長く携わってきましたが、

こうした死亡事故の話を聞くと、改めて電気の怖さと、

現場での安全対策の重要性を考えさせられます。

 

 

 

 

今回いただいた資料でも、

電線付近でクレーンなどを使用する場合には感電防止のための措置が必要で、

まずは電線との十分な離隔距離を確保することが基本とされています。

 

 

 

 

家づくりの仕事に携わって早二十数年。

現場監督からスタートしたキャリアも、

営業・設計・アフターメンテナンス・工務店経営まで。

 

 

 

より良い家づくりを実現するために、日々学び続けています。

ご興味のある方は、ぜひ過去のブログもさかのぼって読んでいただけるとうれしいです。

 

 

 

 

レッカー

 

 

 

 

 

電線が近ければ「防護管を付ければいい」ではない

 

 

 

 

建築現場の近くに電線がある場合、

よく使われるのが「防護管」です。

電線のまわりに保護材を取り付け、

クレーンや足場などが近づいた際の感電リスクを下げるためのものです。

 

 

 

 

ただし、大切なのは、

防護管があるから電線に近づいても大丈夫というものではないことです。

 

 

 

 

まず必要なのは、電線との安全な離隔距離を確保すること。

 

 

 

 

今回いただいた資料では、

7000V以下・600Vを超える電線について、安全離隔距離として2mという目安が示されています。

 

 

 

 

また、建築用足場や作業範囲から2m以内に配電設備がある場合には、防護管の取り付けが推奨されています。

 

 

 

 

もちろん、現場によって電線の種類や電圧、建物との距離、クレーンの動き方は違います。

 

 

 

 

そのため、「このくらい離れていれば大丈夫だろう」と現場だけで判断するのではなく、

必要に応じて電力会社や専門業者に確認しながら進める必要があります。

 

 

 

 

 

昔は無料だった防護管が、今は有料に

 

 

 

 

今回、電力関係の方と話をしていて印象的だったのが、防護管の費用についてです。

以前は、電力会社へ連絡すると無償で取り付けてもらえることが一般的でした。

 

 

 

私自身も昔から現場に携わっているので、

 

 

「電線が近ければ防護管をお願いしておく」

 

 

という感覚がありました。

 

 

 

ところが現在は、この防護管の設置が有料になっています。

 

 

 

今回聞いた話では、

電力自由化や送配電部門の分離などが進む中で、

こうした費用についても、電気を利用するすべての人が負担するのではなく、

必要とする側が負担するという考え方になったとのことでした。

 

 

 

 

昔から現場をやっている人間からすると、

「昔は無料だったのに」という感覚がどうしても残っています。

 

 

 

 

しかし、実際には防護管を設置するために高所作業車を出し、

人が現場へ行き、取り付け、工事終了後には撤去するわけです。

そう考えると、当然そこには人件費も車両費も掛かっています。

 

 

 

 

 

現場によっては結構な金額になる

 

 

 

 

問題は、防護管が1本、2本で済むとは限らないことです。

例えば角地などで、敷地の2方向に電線が通っている場合があります。

 

 

 

 

足場やクレーンの作業範囲によっては、

かなりの本数の防護管が必要になることもあります。

 

 

 

 

さらにNTTなど別事業者の電線も関係すると、

それぞれに対応が必要になるケースもあります。

 

 

 

 

今回の資料にも、防護管の取り付けについて、

基本料金に加えて本数や長さなどによって費用が加算される料金例が掲載されていました。

 

 

 

 

現場条件によっては、なかなかパンチのある金額になります。

 

 

 

 

以前、太陽光発電を設置する現場について相談を受けた際にも、

建物の2方向に電線があり、防護管をかなりの本数取り付けなければならないケースがありました。

 

 

 

 

せっかく太陽光発電の機器などで予算を調整していても、

工事を始める段階になって防護管の費用が必要だと分かれば、予定していなかった費用が発生します。

 

 

 

 

こうした費用は、建物そのものに使われるものではないので、

お施主さんから見ても分かりにくいところだと思います。

 

 

 

 

場合によってはクレーンを使わないという判断も

 

 

 

 

住宅工事の場合、

すべての現場で防護管が必要になるわけではありません。

 

 

 

電線が十分離れている敷地もありますし、

地中化されていればそもそも問題にならないこともあります。

 

 

 

一方で、住宅地では道路際に電柱があり、

その横でクレーンを使って上棟する現場も珍しくありません。

 

 

 

 

特に狭い敷地や平屋などの場合には、

防護管を大量に設置してクレーンを使うよりも、

職人さんを増やして人の手で材料を上げた方が合理的なケースもあります。

 

 

 

 

クレーンを使うのか。

人力で上げるのか。

防護管をどこまで設置するのか。

これは一律ではなく、敷地条件や建物、電線の位置を見ながら判断していくことになります。

 

 

 

 

「高いから付けない」では済まされない

 

 

 

 

ただ、今回のような事故の話を聞くと、

費用が掛かるからという理由だけで安全対策を省くことはできないと改めて感じます。

 

 

 

事故が起きれば、何より人命に関わります。

 

 

 

そして労災事故となれば工事そのものが止まる可能性もあります。

お施主さん、職人さん、クレーン業者、工務店など、多くの人に大きな影響が及びます。

 

 

 

 

今回の事故についても、

現時点で私が知っているのは報道や関係者から聞いた範囲の情報です。

 

 

 

 

ですから、事故原因について憶測で書くことはできません。

 

 

 

 

ただ、こうした事故が実際に起きたことを受けて、

これからクレーン業者をはじめ現場に関わる人たちが、電線との距離や防護措置について今まで以上に慎重になるのは当然だと思います。

 

 

 

私たち工務店側も同じです。

 

 

 

 

完成すると見えなくなる「安全に建てるための費用」

 

 

 

家づくりの見積書を見ると、

基礎工事、木工事、断熱工事、住宅設備、内装工事など、完成後にも分かりやすい項目に目が行きます。

 

 

一方で、
安全対策など
こうしたものは、家が完成すると何も残りません。

 

 

 

 

しかし、安全に家を完成させるためには欠かせない費用です。

 

 

 

 

 

土地を買う人からすると、

電柱や電線は「あるのが当たり前」で、それほど気にしないかもしれません。

 

 

 

しかし実際に家を建てる側から見ると、

こうした周辺環境も施工方法や費用に関係してきます。

 

 

 

 

家づくりは完成した家だけではない

 

 

 

 

家づくりというと、間取りやデザイン、断熱性能、耐震性能などに目が行きがちです。

 

 

 

もちろん、それらはとても大切です。

 

 

 

でも、その前にあるのが、安全にきちんと建てることです。

 

 

 

 

現場監督からこの仕事を始めて二十数年になりますが、

現場には慣れてしまうことの怖さもあります。

 

 

「今まで大丈夫だったから今回も大丈夫」

 

 

ではなく、事故が起きた時にはもう一度自分たちのやり方を見直す。

 

 

 

 

今回の話も、そのきっかけになりました。

 

 

 

 

完成すると見えなくなる部分ですが、

こうした安全管理も含めて家づくりです。

 

 

 

当たり前のことを当たり前に続けていきたいと思います。

 

 

 

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