県産材ツアーに参加してきました（木材乾燥編：
前回の製材工程に続き、
「乾燥」 を詳しく見学しました。
木は伐採された直後は多くの水分を含んでおり、
乾燥が不十分な状態で住宅に使ってしまうと、
反り
曲がり
割れ
収縮
梁や柱の強度低下
といったトラブルにつながります。
そのため「木材をどう乾燥させるか」は、
家づくりの根幹に関わる工程です。
家づくりの仕事に携わって早二十数年に、
現場監督～スタートしたキャリアも、
営業、設計、アフターメンテナンス、工務店経営と、
日々学びながらより良い家づくりを実現するために奮闘中！！
ご興味のある方は過去ブログも
遡って読んでいただければ大変嬉しいです！！！
まず見学したのは、
屋外に並べられた 天然乾燥材。
天然乾燥とは、
風通しの良い場所で木材を積み、
自然の力でゆっくり乾かす方法です。
木が本来持つ油分や成分が残りやすく、風合いが柔らかい
木の香りが良い
木の暴れがある程度落ち着く
昔ながらの日本の家はほぼすべて天然乾燥材
とにかく時間がかかる（半年〜数年）
天候に左右される
木が反りやすい
水分量が均一になりにくい
構造材として使うには不安定。
製材所の方も
「昔は全部天然乾燥でした。今は構造材に使うのは難しい」
とおっしゃっていました。
ただ、乾燥途中の木が見られるのは非常に貴重な経験。
時代が進み、
乾燥を安定させるために登場したのが人工乾燥。
特に住宅用材で一般化したのはこの2つです。
天然乾燥に近い温度帯でゆっくり乾かす方法。
木の性質を残しやすい
乾燥ムラが残る場合あり
反りはある程度出る
蒸気を使って一気に乾燥させる力技の方法。
現在、多くの板材に使われています。
乾燥スピードが速い
コストが抑えられる
ただし木が焼けたように濃い色になる
香りも強く出る
内部割れの原因になる場合も
高温乾燥は生産性が高い一方、
木材本来の美しさはやや損なわれることがあります。
そして近年、
木材乾燥の世界に革新的な方法が登場しました。
それが 真空乾燥 です。
ツアーで見学した製材所にも導入されていましたが、
兵庫県内でも設置している工場はまだわずか。
真空にすると水分の沸点が下がるため、
低温でも木の内部までしっかり乾燥できます。
低温で乾燥するため
色味がきれいに仕上がる
杉の赤身が黒ずみにくい
反り・ねじれが非常に少ない
含水率が均一に仕上がる
高温乾燥のように“焼け色”が出ない
木本来の風合いを保ったまま乾く
乾燥スピードは天然乾燥より圧倒的に早い
製材所の方が言われていた、
「真空乾燥導入後、
という言葉が印象的でした。
今回のツアー全体で強く感じたのは、
木はただ切って使うだけの材料ではない ということ。
同じ杉でも、
乾燥方法によって
色
強度
安定性
香り
仕上がり
全てが変わります。
そして、乾燥工程はお施主様から見えない部分ですが、
家の寿命を大きく左右する最重要ポイントです。
今回の見学で学んだ知識は、
これからの家づくりにも、
そしてお施主様への説明にも必ず活かしていきたいと思います。
