今月お引き渡しをした
三田市での断熱リノベーション物件。
この家は、
かつて設計士さんの自邸として建築された半平屋建ての邸宅で、
何より特徴的なのが、中心に据えられたガラスに囲まれた中庭(パティオ)です。
四方から光が差し込む設計は当時としては非常に先進的で、
住まいの象徴ともいえる美しい空間でした。
しかしその一方で、
単板ガラス+木製造作建具という昔ながらの仕様が大きな弱点となり、
冬場にはこの中庭から冷気が流れ込み、
室内環境を大きく悪化させてしまっていました。

中庭を囲む4面すべてが単板ガラス。
木製窓枠は風合いが良いものの、
気密性・断熱性が低い。
冬の冷気が家中に伝わり、
暖房の効きが悪い。
結露もしばしば発生し、
経年劣化の要因にも。
「せっかくの中庭デザインなのに…」
ご購入されたお施主様も、
このギャップに長年悩まされ弊社に相談いただきました。
今回の計画で大切にしたのは、
意匠性を損なわず、暮らしの快適性を劇的に改善すること
中庭はこの家の核となる空間。
ここを壊したり、
大きくデザインを変えてしまっては、
この家の魅力が失われてしまいます。
そこで採用したのが、
既存の木枠を活かしながら、断熱性能を高める改修
高性能内窓の設置とガラス交換
必要箇所のみ最小限のフレーム改修
屋根断熱と床下の断熱補強
外観や佇まいは変えずに、
見えないところの性能を最大化する方向で設計しました。

今回のリノベーションで、
中庭のデザイン性はそのままに、
体感温度は別物の家へと生まれ変わりました。
光が美しく入り、風が通り、
そして快適に暮らせる家へ。
意匠と性能の両立は、
私たちが最も大切にしている提案の一つです。
今後も、こうした価値のある既存住宅を活かしながら、
暮らしやすさを底上げするリノベーションを続けていきたいと思います。