明石のリフォーム現場で、解体時に土壁が出てきました。
昔はどこでも当たり前に見られた「土壁の家」です。
今では、ほとんど乾式工法の壁となり、見られることが少なくなりました。
取扱いのできる職人さんは希少となり、失われつつある技術です。
土壁とは、日本の伝統工法によって作られた壁のことで、
一般には木舞と呼ばれる格子状の枠に土を塗り重ねた壁のことです。
昔の日本の家は、高温多湿の気候風土対策として、
いかに夏場を快適に過ごすかを重視していました。
夏場を快適にするには、夏場の湿気対策が重要です。
土壁を空気が通ることにより湿度を調整(吸湿)する効果があります。
冬場については、採暖によって暖をとっていました。
採暖とは、輻射暖房(いろり、火鉢など)で暖を採ります。
たき火が暖かい感覚で、空気の温度は低くても暖かく感じます。
さらに、土は熱を蓄えやすいので、採暖型の暖房機を使うと、
壁も温まり輻射熱を出すようになり空気は冷たくても体感温度では暖かく感じられるようになります。
非常にメリットのある土壁ですが、
デメリットとしては、施工期間が長いこと、職人が希少であること、湿式工法で木部をぬらしてしまうので、敬遠されがちです。
また、断熱性能が弱い (10KのGW 50mm相当)ので何らかの断熱補強も必要になります。
昔ながらの木舞を利用したものではなく、
今では自然素材建材として土が人気です。
石膏ボードの上にある程度の厚みで塗りつける工法でも調湿効果が実証されています。
柱や梁など、木の軸組と、土でつくる面とのバランスは、日本の木造建築がもっている美しさです。
メリット、デメリットを理解した上で使用していきたい自然素材です。