国の政策として、リフォーム・中古住宅市場の倍増計画を立てています。日本では心疾患や脳血管疾患、呼吸器疾患で亡くなる人が冬に多い。住宅の根本的な寒さが問題視されています。
実際に、連続暖房が普及している北海道を除いて、冬10℃以下となる寝室が珍しくありません。布団で身体は温まっても、呼吸により冷たい空気を体内に取り込み、身体は暖かくても体内が冷えていては、とても健康的な住環境とはいえません。また、布団から出てトイレに行くときなどには、いつヒートショックになってもおかしくありません。
最近の調査により、住宅の暖かさと健康の関係が明らかになってきました。住宅と断熱化することにより室内の温度差を最小限にし、足元から底冷えするといった現象が減り、ヒートショックが起きにくくなるだけではなく、気管支嘆息やのどの痛み、せきといった日常的な疾患の症状も改善されることがわかってきました。
中高年の健康不安や医療費の軽減などの効果により、断熱改修の需要は高まっています。
しかし、既存住宅の状況に応じてその都度、適切に判断することが重要で、新築工事のように標準化することが難しく、つくり手により、手法やレベルに差があるのが現状ではないでしょうか。
断熱改修には大きく分けて、「全体断熱改修」 「部分断熱改修」 「局所断熱化」の3つがあります。
「全体断熱改修」とは、文字通り壁・床・天井をはがして住宅全体の断熱改修を行うものです。住宅全体を改修するため、確実性は高いですが、大がかり工事になり、費用が高くなります。
「部分断熱改修」とは、主な生活空間だけを区切って断熱改修することで、「全体断熱改修」ほど、費用をかけず、効果が期待できます。その反面、施工に高い技術力と知識が必要で、つくり手により、効果、改修費用、手法にレベル差があります。
「局所断熱化」とは、エコポイントなどの補助金対象工事で、窓を取替えたり、内窓を取り付けたりして局所的に断熱を高める手法です。手軽にできて、費用的にも安価ですが、効果が不透明とも言われています。
今後は、さらに断熱改修のニーズが高まっていくことが予想されます。既存住宅に応じた、手法、断熱材選び、納まりの検討が最重要になってきます。住宅住宅にあった提案ができるように日々精進していかなければいけません。