夏がまだ残っているのか、それとも秋になったのか?
10月も後半だというのに、
なかなか季節の判断が難しい気候が続いていますね。
そんな先日の休みを利用して、
三重県の伊勢神宮まで日帰りで出かけてきました。
伊勢神宮を訪れるのは今回で何回目になるのか、もう覚えていないほど。
それでも不思議なもので、何度訪れても気持ちがリセットされるような感覚があります。
普段は神戸で工務店を経営しながら、
設計や現場、打ち合わせなど、何かと考えることの多い毎日を過ごしています。
休日でもついつい仕事のことを考えてしまうのですが、
伊勢神宮を訪れると、自然と頭の中が整理されるような気がします。
境内に広がる豊かな緑。
大きな木々に囲まれた参道を歩いていると、
普段の慌ただしさとは違った時間が流れているように感じます。
何か特別なことをするわけではありませんが、こういう時間も大切ですね。
伊勢神宮を訪れると、やはり建築にも目が向きます。
伊勢神宮の正宮は、
日本古来の建築様式である「神明造(しんめいづくり)」を代表する建築です。
特に伊勢神宮の正宮に見られる様式は「唯一神明造」と呼ばれています。
茅葺きの屋根に、屋根の上へ伸びる千木(ちぎ)や鰹木(かつおぎ)。
装飾を抑えたシンプルな姿でありながら、独特の存在感があります。
現代の住宅とは用途も構造も違いますが、
木という素材を活かした建築には、時代を超えて感じる魅力があります。
家づくりの仕事に携わって二十数年。
現場監督から始まり、設計やアフターメンテナンスまで経験してきましたが、
こうした伝統建築を見ると、まだまだ建築には学ぶことが多いと感じます。

伊勢神宮の大きな特徴のひとつが、
20年に一度行われる「式年遷宮」です。
社殿を新しく造り替え、
神様に新しい宮へお遷りいただくという、長い歴史を持つ行事です。
建築の仕事をしていると、
どうしても「いかに建物を長持ちさせるか」ということを考えます。
その一方で、伊勢神宮では定期的に建物を造り替えることで、
建築技術や伝統を次の世代へ受け継いできました。
建物そのものを残すだけでなく、建物を造る技術や知恵を残していく。
この考え方は、建築に携わる者として興味深いところです。
もちろん、一般の住宅を20年ごとに建て替えるわけにはいきません。
ただ、家を長く使い続けるためにも、
建てた後の点検や修繕、そして技術の継承が大切であることは共通しているように思います。
最近の住宅は、断熱性能や耐震性能、
住宅設備など、技術の進歩によって大きく変わってきました。
私たちがつくる住宅でも、こうした性能を大切にしています。
一方で、木の素材感や自然との関わり方、
長く使うための工夫など、昔から受け継がれてきた建築の考え方にも学ぶべきことがあります。
伝統的な建築がすべて優れているわけでも、最新の技術だけで良い家ができるわけでもありません。
昔から受け継がれてきた知恵と、現代の技術をうまく組み合わせること。
これからの家づくりでも大切にしたい考え方です。
今回は日帰りということもあり、
長い旅行ではありませんでしたが、良い気分転換になりました。
何度訪れても、また行きたいと思える場所があるのはありがたいことです。
仕事から少し離れて、普段とは違う景色や建築に触れる。
そんな時間が、結果的に日々の仕事にも良い刺激を与えてくれるのかもしれません。
季節は秋に向かっているはずですが、まだまだ気温の変化が大きい毎日。
体調にも気をつけながら、また日々の家づくりに向き合っていきたいと思います。