家の間取りはその後の長い家での暮らし方を決めるとても大切な要素です。
「リビングは最低20畳ぐらいほしい。」
「来客時に泊まりに使えるの和室がほしい。」
「洗濯室と物干し場は最短距離で、」。。。
初めての家づくり、
あなた自身はもちろん、
家族間でもいろいろな希望や要望が出てきます。
その中で必要なことをあなた達自身に問いかけながら
本当に必要なことを取捨選択することで、
あなた色にカスタマイズされたオンリーワンの「間取り」が完成するのだと思います。
間取りを自由に考えられる注文住宅では、
ただただ必要なものを間取りに入れ込むのではなく、
「リビングが最低20畳必要な理由はなぜか?」
「お客さんが泊まりに来る頻度は?人数は?」
といった住まい手が求める要望の本当の意味を理解しなければ最高の間取りをつくることは出来ません。
住宅建築の最前線、
家づくりに携わって早20年。
建売案件の経験はまったくなし、
自由設計の住宅建築を中心に計画~現場~メンテナンスと
延べ200棟の家づくりに向き合ってきた経験で、
最高の「間取り」のつくり方の思考法を解説します。
注文住宅、自由設計で家を建築する場合、
家の間取りは、それこそ住まい手の数同様、無限に存在しましす。
あなたの暮らしを豊かなものにする要素として家が大きな割合を占めるのならば、その「間取り」はあなた達の暮らしにフィットしたものでなければいけません。
家の間取りをヒアリングさせていただく際に、
部屋に必要な広さを畳数で羅列される方が非常に多いように感じます。
その大部分の方は、今の住まいとの対比で必要な広さを割り出されています。
しかし、それでは本当に必要な部屋の広さを知ることは出来ません。
部屋の広さを決めるのは、
「部屋を何に使うか?」と「どのような間取りか?」
で決まります。
例えば、WICなどで考えると、
「動線良く2WAYでアクセス出来るクローゼット」
と
「1か所から出入りする壁3方が収納スペースのクローゼット」
では、同じ畳数でもその収納量は大きく違います。
そのクローゼットにどれだけのものを収納したいか?といった思考で広さを考えることが大切なのです。
家を建築する際の依頼先として
「ハウスメーカー」「フランチャイズ住宅」「工務店」「設計事務所」など。
多くの選択肢があります。
自由な家の間取りを希望するあなたはどこに依頼するのが良いのでしょうか?
「自由な間取りなら設計事務所でしょ!」
と思われるかもしれません。
しかし、設計事務所と言えども住宅建築を得意としているところもあれば、
構造設計であったり、設備設計、申請業務のみしている設計事務所もあります。
決して設計事務所だからと言って、あなたの希望とする間取りを叶えてくれると安心することは出来ないのです。
例に出した「設計事務所」以外でももちろん同じことが言えますので、あなたの目で見極める必要があるのです。
一番簡単な見極め方は、
あなたが「いいな」って思っている会社の
完成見学会を見に行ったり、
ホームページに掲載されている施工事例をよ~く見ることです。
住宅の施工事例がひとつもないようなところは論外として、
似たような家ばかり施工事例に掲載されているようなら自由度の低い「規格住宅」の可能性が高いのでしょう。
「自由設計です!」
と、言いながら簡単な間取りの組替えしか対応してくれないパターンもあります。
完全な自由設計を行うためには、膨大な労力とそれに見合ったコストがかかります。
ある程度万人受けするプランを数パターン用意し、規格化し、多少の組替えへの対応を「自由設計」と銘打っているところもよく見受けられます。
規格化するメリットは「作業の簡略化」、「コスト削減」などなどがあります。
その間取りが自分にあったものでしたら非常にメリットが大きいものです。
建築可能な土地の余裕があり、メリットを感じるようならアリなのではないでしょうか?
【なんちゃって自由設計の見極めのポイント】
1-3-1:ヒアリング~プランまでが異常にはやい。
設計士さんが夜なべ仕事で頑張ってやったという可能性もありますが、
多く場合が、パターン化された図面の中から条件にあうものを選定して、
簡単な組替え後に、プレゼンをしています。
1-3-2:プラン提出後の間取り変更依頼を異常に嫌がる。もしくは異常な追加を要求される。
多少の組替えにしか対応していないため、それ以上の間取り変更については拒否するか?異常な追加要求でお施主さんのほうから断るように仕向けられることもあります。
1-3-3:見積提出がかなりはやい。
お施主さまにとっては、プランから見積提出までがはやいことは喜ばしいことです。
しかし、規格化された住宅でなく完全自由設計の場合、見積も一から行います。
あまりに早すぎる見積提出も、自由設計でないの?って疑いポイントと言えます。
自分が思い描く「間取り」を、
プロの力でより良いものにつくり込むことを希望されるなら、
しっかりとと依頼先を見極める必要があります。
例えば家の間取りで
玄関からキッチンまでの動線が
洗面を通るものとリビングを通るものがあれば便利だと思いませんか?
回遊魚のように家の中をぐるぐると回れる動線とすることで
家事動線を非常にスムーズにする効果があります。
キッチンから洗面に、
洗面から玄関に、
玄関からリビングに、
リビングからキッチンへと
ひとつの箇所から複数の場所にアクセス出来るので効率的に動けるのがメリットです。
新築時などは、小さなお子さんがいると、まるで回遊魚のようにくるくると走り回っている姿をよく見かけます。
言い得ているネーミングの間取り手法ですね。
【参考施工事例】
神戸市北区「地階車庫のある杉の家」
西脇市「家族つながる回遊する家」
設計図を中心に打合せを進める家づくり、
その空間を立体的に感じるには経験を豊かな想像力が必要です。
スキップフロアは立体的に空間を使う間取り手法。
家の構造を半階層ずらして中階層をつくることを言います。
空間の有効利用という意味ではかなり有効な間取りと言えます。
土地の限られた狭小地などでの建築の場合、空間を広く感じられる効果もありより有効な間取りです。
その反面、平面では検討出来ない、空間を想像力豊かに計画しなければいけません。
熟練した技術者の助言と、詳細の検討が必要となり、構造材も複雑になりコスト的には大幅にアップすることもあります。
【施工事例集】
明石市「6層スキップフロアー 家族がつながる家」
明石市「スキップフロアーのある木の家」
「リビングは一階にあるべきだ!」
あなたは、固定観念で決めつけてしまってはいないでしょうか?
家の間取りに必要な要素は住まい手の要望によって変わってきます。
しかし、住宅に必要な普遍的な要素
「リビング」「キッチン」「洗面」「トイレ」「お風呂」「玄関」「居室」など
考えてみると一階に設置されると思っているものが多いことに気がつきませんか?
通常1階にあるべきものと思っているものを2階に設置することで建築面積を抑えながら広く豊かな空間にするこも出来るのです。
2階リビングに主なメリットデメリットとしては、
・アクセスには階段の上り下りが必要。
・間取りによっては勾配天井などで豊かな空間に、
・周辺環境によっては眺望を暮らしの一部にとり込める。など
暮らしの中で優先することを確認しながら是非を自分自身に問いかけてみてはどうでしょうか?
【施工事例集】
伊丹市「インナーガレージのある家」
姫路市「大面積のウッドデッキバルコニーのある家」
上記3つの間取りの手法は、ほんの一例です。
ライフスタイル、要望にあった提案が出来るかどうか?が建築家の腕の見せどころですね。
家の間取りを考える際に、自分たちの要望を詰め込むあまり、
ちぐはぐな間取りとなってしまうパターンもしばしば見受けられます。
実際にあなたが何を目的として希望し、
その目的の解決にはどういった方法があるかを、
信頼できるプロと協議しながら進めることで
そのちぐはぐをまとまりのあるものにしていけるのではないでしょうか。
いろいろな人の考え、要望、要素が絡みある家の間取り、
絶対にこれと決めてのぞむと、その要望は叶えられたととても、
他に容易ならざる支障をきたすことがあります。
いろいろな考え方、手法を検討しながら柔軟に進めることで、
のぞむ以上の最高の間取りが完成するのだと思います。