06「快適で健康な家」を経済的に実現する。
「住環境の快適性」.「耐震性、耐久性」.「素材感のある自然素材」. 3つのコストのベストバランスを考える。
「本当のエコ住宅」であることにより、低エネルギーで「快適・健康」な暮らしをおくることができます。言い替えれば、「生活にかかる光熱費を抑えることができる」と言うことができ、上手な住み方をすることで大幅に光熱費( ランニングコスト) を抑えることができます。
家づくりは、人それぞれ、住宅メーカーによっても様々ですが、どんな家づくりにも予算というものがあります。それを無駄にせず最適なバランスをもって実現させ、内容に納得し、素敵な家ができたと実感してもらえることこそ私たちの仕事だと考えます。
日本は冬になるとヒートショックによる死者が急増する国で、大変深刻な問題となっています。ヒートショックは、居室と非居室の温度差が1 0 ℃ 以上ある場合に起こります。
4 2 ℃ のお風呂に浸かってから室温1 0 ℃ の脱衣室で着替えをする、そのような状況がもっとも危険︕ これだけでも、冬寒い家がどれだけ危険なことがわかっていただけると思います。
住宅の断熱性が高いほど、せきやのどの痛み、アトピー性皮膚炎などの症状は改善されます。
そんな調査結果が、近畿大の岩前篤教授( 建築熱環境学) の調査で明らかになりました。合計2万人以上もの多くの人を対象に行った調査であることは、この調査結果の信憑性を示しています。 < 調査内容> 転居前にせきやアトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎など9 の症状が出ていた人のうち、転居後の症状が出なくなった人の割合( 改善率) を調査したものです。
この調査でおもしろかったのは、断熱性能が上がれば上がるほど改善率の伸びが大きくなっていることです。家の断熱性能が、どれほど住まい手の健康に影響しているのかわかっていただける良い資料だと思います。 断熱性能を適切に高めることによって「寒さを我慢」する生活から、「快適で健康」な暮らしに近づけていけるのではないでしょうか。
心地よい家は光熱費もお得
上図は財団法人建築環境・省エネルギー機構「自立環境住宅への設計ガイドライン」の体感温度を表した図です。
体感温度 ≒(表面温度+室温)÷2
部屋の室温は同じ20℃ですがどちらが快適でしょうか︖
左の断熱性能の乏しい住宅では室温を20℃にしても壁、床、天井、窓、の表面温度の平均は10.8℃しかありません。
体 感温度としては、室温と表面温度の中間の温度で、15.4℃しかありません。
室温との差も4.6℃もあり、これでは寒いです。 右の高い断熱性能の住宅では、体感温度は19℃になり、表面温度、室温とほぼ差がなく快適な環境だと言えます。よって、断熱性能の高い家は、小さなエネルギーで暖かく感じることができるのです。
※体感温度(たいかんおんど)とは、人間の肌が感じる温度の感覚を、定量的に表したものである。 人間の温度感覚は、皮膚面の水分(汗)が蒸発したり、皮膚面の熱が奪われたりすることで生ずるものである。 こうした体感温度は気温だけでなく、実際には湿度や風速等によって影響されやすく、たとえば多くの場合は風が強いときほど体感温 度は下がる。 したがって、気温をそれらの数値で補正する。
家の燃費を計算ソフトで見える化する。
建物の省エネ化手法はたくさんあります。
「家の高気密高断熱化」、「日射取得、日射遮蔽などの庇の設計」、「換気設備の検討」、「給湯設備などの高性能機器」の選択などです。それぞれの手法を行えば省エネ化が進むのは間違いありませんが、各項目がどの程度省エネ化につながっているのか?
この最も重要な関係性を見える化することを今までは検討することができませんでした。
その結果、限られた費用をどの項目に割り当てるべきかを検討することも難しい状態でした。
「建もの燃費ナビ」を使い家の性能を見える化することで、
この問題を解消し、真の意味での省エネ、真に経済的な予算配分の実現が可能となるのです。
賢い住宅ローンのすすめ
住宅ローンの選び方で、住宅取得にかかるトータルコストは大きく変わります。また、住宅ローンを取り扱っている金融機関は約1 , 6 0 0 社以上あり、ローンの種類は約3 万種以上、正確な数は誰にもつかめないほど多種多様です。
ローンの選び方によっては最終的に支払う金額が5 0 ~5 0 0 万円も変わることもあり、選定はとても重要になってきます。しかし、大部分の人が、実際に住宅取得と検討し始めてから、ローンを決めるまで意外とバタバタしてしまい、勧められるまま、十分な検討をせずに住宅ローンを組んでいるのではないでしょうか。 住宅ローンを組むうえで重要になってくるのがトータルコストを算出することです。
トータルコスト= 元利総支払金額+ 諸費用
諸費用として計算すべきものには、保証料、融資関係手数料、団体信用生命保険料、抵当権設定手数料、収入印紙代などがあります。 金融機関、ローン商品によって大きな違いがあるのが、保証料と融資関係手数料になります。 保証料とは、連帯保証人の代わりに保証会社にローンの保証をしてもらう費用で、保証会社に支払います。
< 保証料のポイント>
● 金融機関、借入期間によってまちまちですが、一般的に2 . 0 6 % 程度で計算する場合多いようです。 ( 例 2 0 0 0 万円の借入れの場合) 2 0 0 0 万円× 2 . 0 6 % = 4 1 万2 0 0 0 円
● 金融機関によっては保証料が無料なところや、金利上乗せとしてイニシャルコストを抑えられるものもあります。
● フラット3 5 の場合、保証料が不要です。
融資関係手数料も金融機関やローン商品によって大きく違います。
融資関係手数料とは、金融機関の融資や担保設定に関する手続き費用で、金融機関に支払います。 融資関係手数料も金融機関やローン商品によって大きく違います。
(例) 借入金額︓ 2 0 0 0 万円 期間︓ 3 5 年
住宅ローンA 全期間固定金利2 . 1 6 % 手数料2 . 2 %
住宅ローンB 全期間固定金利2 . 4 6 % 手数料5 万2 0 0 0 円
上の2 種類の住宅ローンを比較してみると、 A 手数料 2 0 0 0 万円× 2 . 2 % = 4 4 万円 元利総支払額2 8 5 2 万5 7 6 円+ 4 4 万円= 2 8 9 6 万5 7 6 円 B 元利総支払額2 9 8 4 万9 7 0 1 円+ 5 万2 0 0 0 円= 2 9 9 0 万1 7 0 1 円 A のローンのほうが9 0 万円以上安くなります。
一見似たようなローン商品でも保証料や融資手数料を試算してみると大きな差がでてきます。金融機関やローン商品を選ぶ際には、重要な検討項目です。
借り方によって数百万円の大きな差が生まれる住宅ローン。 住宅ローンに利用される人生とすることなく、住宅ローンを賢く利用する人生とするために必要なお金の正しい知識を身につけましょう!