04最先端と伝統技術のコラボレーション
我々の住む兵庫県は、(財)建築環境・省エネルギー機構で定める地域分布では㈿b地域となります。
温暖な瀬戸内気候なために「寒さ」や「暑さ」で不自由を感じることが北の地域の人々より少なく、「省エネ=我慢」という元々の考え方も根強くあり、省エネへの取り組みは耐震ほど重視されていませんでした。
しかし、真のエコ住宅とは「寒さ」を我慢するものではなく、「暖かく快適な空間」と両立するべきだと考えます。
「住宅の断熱性が高いほど、せきやのどの痛み、アトピー性皮膚炎などの症状は改善されます。
そんな調査結果が、近畿大の岩前篤教授(建築熱環境学)の調査で明らかになりました。
2万人もの多くの人を対象に行った調査であることは、この調査結果の信憑性を示しています。
転居前にせきやアトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎など9の症状が出ていた人のうち、転居後の症状が出なくなった人の割合(改善率)を出したものです。
住宅の断熱性能が高いほど改善率が高いという結果になっています。
「断熱性能」が「健康」に与える影響が明確になったといえます。
また、「断熱性能」と「健康」の因果関係を考えた研究結果も発表されています。
(独)建築研究所の村上周三理事長の発表では、「断熱・気密住宅における投資回収年数」で、高気密高断熱住宅における「建築費」と「光熱費」との関係を、「単に光熱費のみで投資回収年数を計算すると25年かかるが、健康維持増進効果を考慮すれば、16年にまで大幅に短縮できる」という研究結果もでています。
さて、我慢することなく快適かつ省エネな住宅を造るためには、性能(高気密高断熱)と設計上の工夫が必要になってきます。
もともと日本の住宅は、高温多湿になる「夏」の過ごし方を重視し、冬の暖房は、部屋全体を暖めるのではなく、必要なところだけを暖めてすごしていました。
しかし、気密断熱を向上させることにより、住空間の温度を保っておくことが可能になります。
オーガニックスタジオ兵庫では、次世代省エネ基準の㈼地域(青森、秋田)同等で、兵庫県のトップランナー基準でもある熱損失係数(Q値)1.9前後、一般的な住宅メーカーと比較すると1/4程度の隙間である隙間相当面積(C値)1.3以下を標準仕様としています。
内外を区別(気密断熱)する性能を満たすことで、これまでの部分的な暖房ではなく、床置き型エアコンを利用した全館暖冷房システムを標準採用することが可能になりました。「寒さ」と「我慢」する生活から、「快適で健康」な暮らしを実現できるようになります。
また、家の性能(気密断熱)を向上させるだけでは、本当の意味での「エコ住宅」とは言えません。
気密断熱により外より「閉じる」と共に、それぞれの地域の気候風土に合わせて、時には「開ける技術」を採用し、住まいを快適にするのがパッシブデザインの手法です。
先人の知恵「パッシブデザイン」により自然エネルギーの力をコントロールし、無料のエネルギーとして活用します。
冬期に太陽の力を利用して室内を暖めるということは、そう難しいことではありません。
ただ、夏を意識しないで計画していまうと、夏暑い家になってしまします。
高気密高断熱住宅で快適に過ごすためには「夏の日射をいかに入れないようにするか」がポイントになります。
南面の光は季節によって角度が大きく異なります。
上手に日射遮蔽を計画することで夏の日射は遮り、冬の日射は取り入れることもできます。
冬の太陽は無料の暖房器具です。
夏の日射を遮ることが夏の暑さ対策には重要なことですが、逆に冬には大量に取り入れることで大きな熱源となってくれます。これを有効利用することで大幅に暖房費用を軽減し、さらに省エネに快適な住空間にすることが可能になります。ですので、南側の開口部は、断熱性の高いサッシでできるだけ大きくとり、その上での日射遮蔽を計画します。
「自然素材の癒し」×「自然エネルギーの力」の相乗効果で「心地良く快適な住環境」を提案いたします。